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2009年12月7日月曜日

緩和ケア総合診療マニュアル

僕が所属している佐賀大学医学部・総合診療部で翻訳した本のご紹介です。

10月にプリメド社から出版された

『緩和ケア総合診療マニュアル』

ゲイリー・ジョハンソン 著  小泉俊三 監訳  
佐賀大学医学部・総合診療部 翻訳

プリメド社

2800円(税別)
です。

人は誰でも100%亡くなるわけで、その時期が早く来るのか遅く来るのかの違いはあるにせよ、誰しもなるべく苦しまずに死にたいと思っていると思います。
人が死を目前にひかえた一定の期間のことをターミナル(ステージ)や末期と呼ぶことがありますが、このターミナルステージをより豊かなものにするためには、痛みをはじめ様々な症状を和らげる(=緩和ケア)ことが必要不可欠です。

今回、僕らが翻訳した本は米国の緩和ケア専門医が書いた緩和ケア診療に関するもので『Clinicians Handbook of Symptom Relief in Palliative Care』という本の第5版になり、米国では2007年に出版されています。同書の第4版は1994年に出版され、その翻訳も佐賀大学医学部・総合診療部で行い1998年に『ターミナル・ケアの症状緩和マニュアル』というタイトルで出版されています。

僕がホロカナイに赴任する前の2005年に著者であるゲイリー・ジョハンソン先生を米国カリフォルニアのサンタローザに訪ね、ジョハンソン先生のホスピスや在宅診療などを見学させていただいたこともあり、今回の翻訳本の編集をさせてもらいました。翻訳は医局の先生を中心に、佐賀大学病院の小児科や緩和ケア科の先生や看護師さんを含む18名で分担して行いました。
緩和ケアにおける様々な症状ごとに章が分かれていて、わかりやすく臨床で使いやすくなっています。米国の本なので、薬剤の投与量は米国におけるものですが、注釈で日本での投与量も書いています。文献や役立つサイトのURLも載せています。

目次は次のとおりです。

1)ホスピスと緩和ケア 2)コミュニケーションについて 3)痛み 4)悪心と嘔吐
5)食欲不振と悪液質  6)便秘 7)下痢 8)腸閉塞 9)呼吸困難 10)咳そう
11)抑うつ症状 12)不安とせん妄 13)耐えがたい苦痛  14)不眠 15)尿路の症状
16)皮膚と口腔のケア 17)小児の緩和ケア 18)末期HIV感染症
19)末期がんでのステロイド使用 20)持続皮下注入 21)侵襲的鎮痛法
22)その他(痙攣、かゆみ、しゃっくり、高カルシウム血症など)

となってマス。

医学生や研修医、医師、看護師の皆さんにもおすすめです!

以下、出版社(プリメド社)の紹介文です。

『種々の苦痛に幅広い視点でアプローチする緩和ケアマニュアル』 
米国のホスピス緩和医学専門医が,がん末期に伴うさまざまな苦痛緩和を紹介。著者の長年にわたる経験から得られたあらゆるスキルを紹介するとともに,ケアに必要な心構えまでも網羅。
豊富な項目と充実した内容にもかかわらず,箇条書きにしたコンパクトな解説文とすっきりしたレイアウトが読みやすい。


”プライマリケアと患者支援の医学書出版”プリメド社HP http://www.primed.co.jp/index.html

アマゾンでのご注文はこちら(笑)
http://www.amazon.co.jp/緩和ケア総合診療マニュアル-ゲイリー-ジョハンソン/dp/4938866447


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2009年11月18日水曜日

愛と感動のSWING&INPUTホロカナイツアー

幌加内町立病院の医師は、12年前の平成9年から佐賀大学(当時は佐賀医大)病院・総合診療部より派遣されています。それぞれの医師は23年ずつ勤務していて、僕で9人目、いまの院長(僕より4学年先輩)は10人目の佐賀からの派遣になります。

なぜ九州の佐賀から北海道へ?と思われるかも知れませんが、当時医師不足に陥った幌加内町の役場の方々がいろいろ情報を集められ、地域医療を任せるにはどうやら佐賀の総合診療部がいいらしい、ということで佐賀まで医師派遣を依頼に来られたのが始まりです。

僕が所属している佐賀の総合診療部の医局は、一般的な「白い巨塔」のイメージとは程遠く、教授が医局員の自由・希望を尊重してくれるので、いままで幌加内に来た医者はみな自分の希望で赴任しています。て、ことはもし幌加内での経験が酷いものであれば、誰も来なくなったわけで、今日まで12年間医師派遣が続いていることはホロカナイでの経験が医師としても人としてもとてもプラスになっているからなんです。また幌加内の町民のみなさんが佐賀から来た僕たちをとても暖かく受け入れてきてくださったからこそ、なのです。

で、前置きが長くなりましたが、先週末は佐賀からの派遣医師の初代と二代目の先生がホロカナイに講演に来てくれました(この週末は、札幌医大の地域医療総合医学講座のN先生に当直に来ていただいていたのでとても助かりました)。

13日金曜日は、町立病院で職員を対象に「医療安全研修」の一つとして主に「医療事故、医療訴訟」についてお話しをしてもらいました。

14日土曜日は、町の成人大学講座として町民の方を対象に「幌加内町と佐賀大学病院総合診療部との関わり~これからの地域医療を考える~」というテーマで講演をしてもらいました。

「総合診療」というのは一般の方には、あまり馴染みのない言葉と思うのですが、とってもわかりやすくいうと「それぞれの病気や内臓だけを診るのではなく、困っている患者さんをまるごと診る」というものです。もちろん、いわゆる「専門医」の診察や治療が必要なときはすぐに紹介しますが、よくある病気については診断から治療まで行います。例えば「高血圧、白内障、膝痛」がある方が都会に住んでいる場合は、それぞれ「内科」「眼科」「整形外科」の病院やそれぞれの外来に別々に通わなければなりませんが、ホロカナイでは全てを同時に診るので、患者さんの負担はだいぶ減ります(ホロカナイから街の病院までは往復で2時間以上かかります)。都会の高齢者よりも、ホロカナイの高齢者の方が通う病院も一つで済み、福祉や介護も手厚くよっぽど幸せなんじゃないかと思います。

昔は、各専門科出身の医師が開業してから「なんでも」診ていたわけですが、そうではなく最初から「なんでも診る」医者を教育しようというところが、大学の総合診療部なわけです。大学以外にもそのような教育を行っている病院もありますが、医学生が総合診療を知るきっかけが一番多いのは大学なので、やはり大学に総合診療部は必要です。

が、全国的に大学の総合診療部は減ってきています…

手前味噌になりますが、患者さんの負担を考えるとまずは「総合診療医(プライマリケア医、家庭医などの呼び方もあります)」にかかることが、時間的にも経済的にも効率がいいハズです。専門医にとっても専門診療に集中できる時間が増えるのでいいハズです。でも世間一般的には「大病院」「専門医」志向がいまだに強いので歯がゆい思いですが。

で、講演のあとは第2部として、2人の先生が所属している佐賀のバンド「SWING」のコンサートがありました!

SWINGはもうすぐ結成30年のベテランバンドでビートルズやイーグルスの曲を中心に、定期的に佐賀のバーなどでも演奏していて、NHK-BSのバンド自慢コンテストの決勝にも出場経験のある実力派バンドです。もともとドラマーの初代Y先生とチェリストの2代目C先生も数年前から加入して活動されています。先生たちが働いている佐賀記念病院でも患者さんのためにコンサートが開かれています。僕が佐賀にいるときからバンドの皆さんとも仲良くさせてもらっていて、いつかホロカナイの皆さんにもSWINGの演奏を聞いてもらうことが赴任したときからの夢でした。

今回、町の教育委員会の皆さんのご協力によりSWINGコンサートがついに実現しました(ドラムはわがバンダーズのリーダーにお借りしました)。

そして、SWINGがもともとお世話になっている佐賀県武雄市の音響会社のINPUTさんも、なんと!佐賀から機材・楽器を積み、車で4日間かけホロカナイに来られました!片道2500km以上のロングジャーニーです。

教育委員長と委員会のYさんがホールの照明はじめいろいろな段取りをしてくだり、INPUTさんの音響とSWINGの演奏により1時間以上におよぶ素晴しいコンサートになりました。

アンコールでは、おまけとして僕もSWING1曲ジョイントさせてもらいました。曲はおなじみのイマジンです(これしか弾けませんから~)。僕にとっても憧れのSWINGと演奏できるなんて夢のようでした。

ラストはヘイ・ジュードを観客の皆さんと合唱して終了しました。♪Na Na Na Na Na Na Na

当日は雨(嵐?)にも関わらず120名以上のお客さんが来られ、懐かしい先生たちとSWINGの演奏に「元気がでました!感動しました~」と町民のみなさんからの声を沢山いただきました。

金曜夜は町長や前町長はじめ役場職員による歓迎会があり、土曜夜はキーさん宅で打ちあげをしていただき、幌加内の皆さんの暖かさ、愛にSWINGINPUTの皆さんも感激されていました。佐賀からの代々の医者とその家族もそうですが、幌加内の皆さんの暖かいお気持ちによって僕たちは支えてもらっています。

佐賀から来ていただいた先輩、SWINGINPUTの皆さんにも本当に感謝しています!

人と人のご縁、暖かさを改めて実感した週末でした。


そして本日18日水曜日の午前1時過ぎ、15日日曜日の朝にホロカナイを出発されたINPUTのお二人が佐賀の武雄に無事に到着されました!

感動のホロカナイツアーのファイナルです!往復5000km以上におよぶ日本列島縦断の運転をして、ホロカナイ町民に最高の音を届けていただいて本当にありがとうございました!!


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