2009年6月21日日曜日

北海道国保地域医療学会で発表

20日土曜日は札幌で開催された第14回北海道国保地域医療学会に参加した。

町立病院の事務長と副師長も一緒。

午前中は宮城県涌谷(わくや)町町民医療福祉センター・センター長の青沼孝徳先生の講演。「地域包括医療・ケアを継続して展開するために」というテーマ。いかにセンターが町民に貢献しているかをデータとしてきちんと示されていて、説得力があった。いま国がすすめている公立病院改革ガイドラインは、経済面だけを全面に出し本来の自治体病院の役割・必要性をないがしろにしていることや、行政と病院のコミュニケーション・連携が大切であること、医師の確保が最も大切で困難であることなど、とても共感できた。

午後からは10人が研究発表。僕は9番目だった。

中頓別町国保病院の住友先生の「森林環境の血圧への影響」など面白かった。住友先生は平成17年から森林ウォーキングによる住民の健康づくり(森林療法)をされていて、実際に森林ウォーキングをすると血圧が下がり、これは副交感神経が賦活化されることとストレス軽減作用によるものだろうとのこと。森林療法ドックもされていて、興味深い。実に面白い。

詳しくはこちらを

http://www.town.nakatombetsu.hokkaido.jp/nakatombetsu.nsf/image/01bdbbe608bf20cf492572610022c2f6/$FILE/森林療法ドッグ.pdf

で、僕は「幌加内町の予防医療について〜予防接種を中心に〜」とうテーマで発表した。まあ、発表というより単なる報告でアカデミックではないんだけど、みなさんに知っていただくて演題を出しました。

こんな感じです。

幌加内町は人口1800人弱の農業(蕎麦)を主産業とする町で、高齢化率36.8%と高齢化も進んでいる。町では、住民のみなさんが最後まで安心して暮らせる町づくりを目指し、保健・福祉・医療部門が連携を行なっている。

近年は予防医療にも力を入れており、特に以下のように各種の任意予防接種に対して助成を行うことにより接種率の増加をはかり住民の健康増進をすすめている。また小児の予防接種助成は、少子化対策・子育て支援の一環でもある。

予防接種を中心に、幌加内町における予防医療について述べたい。

助成を行なっている予防接種

肺炎球菌ワクチン 対象:70歳以上 助成額:6000円 

インフルエンザワクチン 対象:中学3年生以下 助成額:全額 

髄膜炎ワクチン(ヒブワクチン)対象:生後2ヶ月〜5歳未満 助成額:全額

ムンプス(おたふくかぜ)ワクチン 対象:16歳 助成額:全額

水痘(みずぼうそう)ワクチン  対象:16歳 助成額:全額

結構緊張してしまったのと、発表時間が7分しかなかったので、言いたかったことのいくつは飛んでしまった。

肺炎球菌ワクチンの高齢者の接種率は全国平均が5%で、ホロカナイではおよそ26%(ちなみに米国は高齢者に保険適応があり、接種率は70%)。中学生以下のインフルエンザワクチン接種率は全国が42%でホロカナイは57%。

ワクチンによって防げる病気は防ぎたいと思っている。米国では今から20年以上前にヒブワクチンは定期接種化されていて、ヒブ(インフルエンザ菌b型)による全身感染症は定期接種前の1100に減少している。こんな事実がわかっているのに、なかなか日本ではヒブワクチンの認可がおりず、その間にヒブによる髄膜炎で子どもを亡くした親御さんはどんなに悔しい思いをされたことだろう。

ヒブワクチンを全額助成している自治体はいまのところ幌加内だけで(7月から鹿児島の伊佐市も全額助成開始)、水痘、おたふくかぜワクチンの全額助成しているところもたぶんないと思う。

任意接種だとやはり家庭への負担になるので、なかなか接種率が上がらない。実際ホロカナイでも水痘やおたふくかぜワクチンの接種者は年に04人だったのが、全額助成を開始した4月からの3ヶ月で、それぞれ7人、10人とすでに以前の年間接種者数の倍以上になっている。

ホロカナイの子どもたちはラッキーだけど、ほんとは定期接種化して日本全国の子どもたちを守るべきだと思う。

こちらも見てください〜

http://www.town.horokanai.hokkaido.jp/hosp/gaiyoutop/shinryoutop/shinryou09.html

http://www.town.horokanai.hokkaido.jp/hosp/gaiyoutop/shinryoutop/synryou07.html

その後は「地域医療再構築に向けてガイドラインを考える」というテーマでシンポジウムがあった。

いろいろ議論はされたけど、目先のことに囚われて、いかに地域住民の意識を高めるかとか地域を担う医師をいかに教育し育てるかなど、長期的な視点での議論まで深まらなかったのが残念だった。青沼先生が最初に指摘されていたとおり、ガイドライン自体の性格のためもありますが。

その後、懇親会があり、中頓別の住友先生はじめ各地域の先生や道の保健医療局長さんともお話できて楽しかった。青沼先生が熱く握手をしてくださったのが嬉しかったです

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