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2010年1月29日金曜日

ワクチン接種全額助成


本日発行の北海道医療新聞に幌加内のことが載りました!

以下に記事をご紹介します。


ワクチン接種全額助成
2種追加を計画

小児予防医療に力

 空知管内の幌加内町国保病院は、町のワクチン接種全額助成による小児予防医療に力を入れている。
本年度スタートしたヒブ、水痘、流行性耳下腺炎の各ワクチンに加え、新年度からは、さらに二種類の接種を検討中だ。

 同町の人口千八百人のうち、十五歳以下は二百一人(うち乳幼児九十八人)と一割以上を占める。唯一の医療機関の国保病院で、町保健福祉総合センター長を兼務している幌太郎(仮)医師が「予防可能な病気は積極的に防ごう」と町に提案。小児用ワクチン三種類の全額助成が実現した。

 髄膜炎を防ぐヒブワクチンのし使用は二十年に認可され、生後二か月から五歳未満が対象。年齢によって接種回数が一〜四回と異なり、一回当たり八千五百十円を無料化。水痘(八千五百十円)、流行性耳下腺炎(六千七百三十円)も一〜六歳児に全額助成している。町は年間予算として対象分の百万円を確保しているという。

 また、インフルエンザワクチンは中学生以下が二十年度から無料化、高校生以上は自己負担千円に設定。接種率は中学生以下で五十七%と、全国平均の四十三%を上回っている。

 一方、七十歳以上が対象の肺炎球菌ワクチンは、自己負担二千円で十九年度から実施。これまでに対象者の三十%接種を終え、全国平均の五%を大きく越えた。

 小児に対し、複数のワクチン接種全額助成は全国でも珍しく、幌太郎(仮)医師は「未来ある子どもたちの健康を守ることで、子育て支援、街づくりに貢献できれば」と意義を強調。小児用の肺炎球菌と子宮頸がんの全額助成についても検討しており、町議会で承認が得られれば四月以降スタートする予定だ。

 接種実績(2009.04~2010.01)
ヒブワクチン:31人(対象者の46%) ※ヒブワクチンは月3人までの供給制限あり
水痘ワクチン:20人(対象者の25%)
流行性耳下腺炎ワクチン:21人(対象者の27%)

(引用終わり)


最後にちらっと書かかれていますが、今春に発売予定の小児用肺炎球菌ワクチン(商品名プレベナー)と昨年12月から発売されている子宮頚がんワクチン(商品名サーバリックス、ヒトパピローマウイルス16型と18型の予防ワクチン)に対しても、町議会で承認されれば4月から全額助成開始予定です!

全額助成の対象は小児用肺炎球菌ワクチンが2ヶ月〜6歳(未就学児)、子宮頚がんワクチンは中学生女子の予定です。

小児用肺炎球菌ワクチンは髄膜炎や中耳炎の予防にとても大切で、子宮頸がんワクチンは子宮頚がんの予防により本人のためであるだけでなく少子化対策にもなります(このワクチンをしても、引き続きの子宮がん検診は受ける必要があります)。

これら新しいワクチン2つに対して全額助成を行なう予定の自治体は、全国でも少ないと思います。もしかしたら今のところ幌加内だけかも知れません。

これらのワクチンは、本来は国による定期接種(自己負担なし)化されるべきですが、現時点では任意接種であり希望する人すべてが接種できる状況ではありません。

幌加内は規模が小さいので動きやすいのは確かですが、幌加内が全国の自治体の「前例」となって定期接種化への小さな一歩になれば、と願っています。

あ、引用記事の「幌太郎(仮)」は僕が書き変えました。ってわかりますね(笑)


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2010年1月15日金曜日

北海道医療新聞の取材を受けました

昨年4月から始めたこのブログも今日で100件目の記事です。
拙い文章につきあっていただいている皆さま、いつも応援ありがとうございます。
あと2ヶ月お付き合いください!

さて、今日のホロカナイは、吹雪でした〜
幌加内町朱鞠内(シュマリナイ)では昨年より1ヶ月早く、今日積雪が2mを越えたそうです。

そんな中、札幌よりお越しいただいた北海道医療新聞社の取材を受けました。

幌加内町で昨年4月から始めているヒブワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンへの全額助成についての取材です。

ヒブワクチンの全額助成はたまたま幌加内町が全国初でしたが、現在は僕が確認できた限りでも道内の豊浦町、奈良県天川村、鹿児島県伊佐市でも全額助成がおこなわれています。

ただ、これら3つの任意接種全てに対して全額助成を行なっている自治体は全国でもおそらく幌加内だけではないでしょうか。

ワクチン助成のみならず、ホロカナイの医療/介護/福祉の連携や町の予防医療や子育て支援への取り組みなど、1時間あまり暑苦しく(笑)お話してしまいました。

来週か再来週には記事になるそうなので、道内の医療関係のみなさま是非御覧下さい!
幌加内のワクチン助成に関して「特ダネ」があるかも知れません!?


話は全くかわりますが、今日は仕事が早く終わったので久々にチビたちを保育園に迎えに行きました。

保育園には以前、ブログでご紹介した当院の院長が作成したシンケンオーが寄贈されておりました。

写真は、シンケンオーと我が家のチビ子(1歳8ヶ月)です。


ところで、ハイチの地震、大変なことになっていますね。死者は5万人以上との予測もあるようです。治安の問題等もあり救援活動が遅れているとのこと。日本にいる僕たちは募金と祈りを捧げましょう。


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2009年8月31日月曜日

シンポジストしました@日本外来小児科学会

昨日は、さいたまの大宮が行われた日本外来小児科学会の特別シンポジウムにシンポジストとして参加しました。

当日の朝7時から大宮駅前で
「麻疹・風疹撲滅」と「ヒブワクチン・肺炎球菌ワクチンの早期定期接種化」を求めるデモ行進に参加しました。
「子どもたちを守ろう!」叫びながら公道を行進するのは、初めての体験でした。
総選挙投票の朝だったので、マスコミは一社のみでしたが、参加者の方々の熱い思いを感じました。

で、10時から「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」が主催、同会の武内先生が司会をされたシンポジウムが開始されました。

始めに、千葉県保険医協会の花井先生がお話をされました。保険医協会の職員の方が、ご自分の子どもさんが細菌性髄膜炎を患われたことから「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」の結成に参画され、保険医協会にも協力を訴え「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会を支援するネット・ちば」が結成され、千葉県議会や市町村議会での国に対しての意見書採択を求める活動をされ「細菌性髄膜炎を予防するワクチンの早期定期接種化を求める意見書を求める請願書」を提出されているとのことでした。その他にもワクチンの学習会の企画や署名活動を行われています。

僕は、「幌加内町で全国初のヒブワクチン全額助成を実現」した背景や経緯、予算などについてお話しをさせていただきました。助成制度を開始する前提として、もともと予防医療や子育て支援に町が力をいれていたこと、医療・介護・保健・福祉の連携がうまくとれていること、を挙げました。
幌加内は人口が少ないので、少ない予算で全額助成を開始することができました。しかし、東京の中央区などのように人口が多いところでも公費助成をしている自治体はあり、自治体の規模はあまり関係ないと思います。ただ、当日の質問にもお答えしましたが、規模が大きくなればなるほど医療―行政、行政―住民の関係が「顔の見えない」関係になりがちで「顔が見えない」と住民に何が必要で何に困っているのかリアルに、実感として伝わりにくいことはあると思います。制度といっても結局は、そこにいる人間がつくっているわけで行政に関わるかたの予防医療に対する理解や困っている人達の気持ちを実感することができれば、実行することができるのではと思います。

続いて、サノフィパスツール第一三共の檜山さんが「ヒブワクチン発売における問題点と今後の課題」について話されました。現在のヒブワクチン供給不足は、ワクチン発売の直前に世間のHib髄膜炎とヒブワクチンに対する理解が急に高まったため、当初の予想をはるかにしのぐ需要が生じているのが原因です。来年後半には供給体制が整う予定とのことですが、現在は診療所3名/月、病院10名/月と供給制限があります。完全に申し込み順にするのか、優先順にするのかの判断は現場に任されています。そのことでメーカーの責任を問う声も会場からありました。メーカーがきちんと指針を出すべきだと。品質の管理などはメーカーに責任がありますが、現在のように供給不足という事態では、現場に任せるのではなく、国なり学会なりがきちんと方針を示す必要があると思いました。いまの新型インフルエンザのワクチン騒ぎもそうですが、米国のように「予防接種実施に関する諮問委員会(ACIP)」のような責任ある専門機関が必要と思います。メーカーを責めるばかりで、そのことが会場から意見がなかったのが、少し不思議でした。

最後にワイスの狩野さんから「新しい乳幼児用ワクチン、7価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)について」お話しがありました。これは主に2歳未満を対象とし9歳未満児までが適応となる肺炎球菌のワクチンです。海外では8~9年前から接種されていて、現在は97カ国で使用されています。肺炎球菌はHibに次いで小児の細菌性髄膜炎の原因となる菌(およそ原因菌の2割を占める)で、中耳炎の原因菌にもあります。Hib同様、髄膜炎が重症化する割合がおおいことと耐性菌の問題もあり、日本でも早期の導入が望まれています。日本では現在審査中で、今年度中に承認される見込みです。

会場からは、自治体の公費助成をすすめるより定期接種化に重きを置くべきという意見がありました。公費助成を行っている(あるいは今後行う予定の)自治体は、現時点では40弱であり、それ以外の自治体では助成制度がなく、自治体間で格差があるのは平等ではないかも知れませんし、ワクチン供給不足の現状では現場に混乱が生じているのも事実です。個人的には、公費助成を行う自治体が増えることによって定期接種化が早まるのではないかと考えています。

政権交代もあったので、これらの髄膜炎関連ワクチンの定期接種化も案外、早いかもしれません。

武内先生をはじめ「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」のみなさん、千葉の花井先生、ワクチンメーカーのみなさん、このシンポジウムに関わられた全てのかたが子供たちのために頑張りたい!というポジティブバイブレーションに溢れていて、僕自身も元気と勇気をいただきました!!

「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」のHPはこちら
http://zuimakuen.net/a1.html


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2009年8月21日金曜日

北空知新聞に載りました

毎週水曜、土曜に発行されているローカル紙『北空知新聞』にホロカナイ町と町立病院の「夕涼み会」の記事が8月19日(水)に載りました。

下記の記事の抜粋にある「髄膜炎」の予防接種とは、正確には「ヒブ(Hib:インフルエンザ菌b型)による細菌性髄膜炎の予防を主な目的にした、ヒブワクチン」のことですー


以下、北空知新聞WEB NEWSより
http://www.fukanavi.com/rmxdkryjytfy/index.php?page=1&keyname=&more=50898#50898

【幌加内】町が今春から取り組む「髄膜炎」(ずいまくえん)の予防接種全額助成が好評だ。

 8月17日現在、すでに16人が接種を受けた。産み・育てやすい環境を整える少子化対策事業の一環としての取り組み。「髄膜炎」は、乳幼児がかかりやすく、運動まひ、発達障がいなどの後遺症を伴う重い病気となる事が多く、町にとっては将来の財政負担軽減を視野に先行投資の意味合いもある。
 「髄膜炎」の予防接種を全額助成したのは、幌加内町が国内で初。鹿児島県伊佐市がこれに次ぐ。(詳しくは8月19日付本紙で)

紙面でも答えていますが「幌加内町は人に優しいマチづくりをしている。厳しい財政状況の中で、町の深い理解がありがたい」と思いまっす!!

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2009年8月19日水曜日

幌加内町のヒブワクチン全額助成

お知らせです。

今月28日(金)~30日(日)にさいたま市大宮で開かれる「日本外来小児科学会」の特別シンポジウムにシンポジストとして私がお話をさせていただきます。

8月30日(日) 午前10:00~12:00 @大宮ソニックシティ

特別シンポジウム
細菌性髄膜炎から子どもたちを守る
―ヒブワクチン定期化と肺炎球菌ワクチン承認へ―

司会:武内 一(耳原総合病院小児科)

シンポジスト
花井 透:千葉保健医協会会長 
「国を動かすため、千葉県下の医療関係者は団結した」

幌太郎:幌加内町国民健康病院
「幌加内町におけるヒブワクチン全額助成について~子どもたちの未来のために~」

檜山 義雄:サノフィパスツール第一三共ワクチン
「ヒブワクチン発売における問題点と今後の課題」

狩野 宗英:(株)ワイス
「7価肺炎球菌ワクチンの市中感染における意義と承認の見通し」

(以下、抄録より)
細菌性髄膜炎の約90%は、インフルエンザ菌b型(Hib)と肺炎球菌が起因菌となっている。Hibワクチンは1990年頃から、7価肺炎球菌ワクチンは2000年頃から、先進国だけでなく世界中で定期化が進み、ほとんどの国でHib重症感染症はなくなり、肺炎球菌重症感染症も激減している。わが国では、年間1000人以上の乳幼児がこれらによる髄膜炎に罹患し、数十人が亡くなっていると推定されている。子育て家族そして私たち医療従事者にとって、この現実は一刻も早く解消しなくてはならない最重要課題だ。
このシンポジウムでは「Hibワクチンの定期接種化までに家族の金銭的負担を軽減する自治体の動きは?」「国を動かして定期接種にする手だては?」「肺炎球菌ワクチンの意義は?」に迫りたい。細菌性髄膜炎を考える必要がほとんどなくなる日は、もうそこまで来ている。参加していただいたみなさんが、このことに確信をもっていただき、明日の診療に看護にあたっていってもらえる、そのことがこのシンポの最大の狙いである。(引用 終わり)

ヒブワクチンに対して公費助成をしている自治体は、現時点で確認できたのはわずかに21市町村です。
そのうち全額助成しているのは、幌加内町と鹿児島の伊佐市だけです。
http://zuimakuen.net/a1-4.html

シンポジウムでは、ホロカナイではなぜスムーズに全額助成化が実現できたのかをお話させていただく予定です。
ちなみに、幌加内町では水痘とおたふくかぜワクチンの全額助成もしています。

関東近郊にお住まいの方は、是非いらしてください!学生さんは参加費無料です。
 
あ、30日は選挙投票日なので、きちんと期日前投票してから上京します!
当日会場にいらっしゃる方は、シンポジウム終了後か期日前に投票しましょー

こちらもみてください
http://www.town.horokanai.hokkaido.jp/hosp/gaiyoutop/shinryoutop/shinryou09.html

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2009年7月8日水曜日

ヒブワクチンが足りない

昨日、HBC(北海道放送局)のニュース番組内の特集「ヒブワクチンが足りない」で幌加内町のことも紹介されました。

7分間の特集でしたが、CGを使ったヒブ髄膜炎の説明、小児科医のコメント、ワクチンの重要性、現在のワクチンの供給体制の問題点、定期接種化への必要性などコンパクトにまとめられていて、とてもわかりやすかったと思いました。

なにより、実際に乳児期に細菌性髄膜炎にかかり重度の難聴、視力障害の後遺症が残ってしまった患者さんとそのお母さんの言葉には重みがあり、改めてワクチンの大切さを実感しました。

ヒブワクチンの定期接種化を切に願います!

特集では「幌加内町は全国初のヒブワクチン無料化」と紹介していただきました。

ホロカナイでは水痘(みずぼうそう)ワクチンとおたふくかぜワクチンも全額助成しているんですが、これは紹介されませんでした。「ヒブワクチン」の特集なので仕方ないのですが。このブログでささやかにアピールさせていただきます(笑)

ニュースと言えども民放である以上、放送内容を決めるうえで視聴率がものを言います。昨日の特集の視聴率が高ければ、今後も予防医療や地域医療の特集を組んでもらえるんじゃないかと淡い期待をよせています。ホロカナイでの視聴率はかなり高かったと思うんですが、果たして札幌での視聴率やいかに?


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2009年7月3日金曜日

ヒブワクチンってなんだ?

昨日は札幌医科大学地域医療総合医学講座が主催しているプライマリケアレクチャーで講義をさせてもらいました。

このレクチャーシリーズは毎週木曜日の朝7時半から30分間、インターネット会議システムを利用して全国(主に道内)の参加医療機関の医師や医学生・研修医に講義が行われます。

いつもは講義を受ける側で、プライマリケアの「ツボ」的なお話が聞けてとても勉強になっています。以前にも書きましたが、都会の病院に勤務していなくても勉強できる時代なのであります。
http://web.sapmed.ac.jp/chiiki/tv_kaigi/tv_kaigi01.html
http://www.carenet.com/primary_lecture/

で、今回は当院に声をかけていただき僭越ながらレクチャーをさせていただきました。

タイトルは「Hibワクチンってなんだ?~幌加内町は全国初の全額助成!~」。

Hib(ヒブ)っていうのは「インフルエンザ菌b型」のことで、このHibに乳幼児が感染すると髄膜炎を起こすことがあります。日本での1996~98年の調査では5歳未満のこどもたち10万人あたり8.6~8.9人が、このHib髄膜炎にかかっています。年間患者数は約600人になる計算です。全国で600人と聞くと少ないと思うかもしれませんが、Hib髄膜炎は初期診断が難しく治療が遅れてしまうことがあることや、抗菌薬(抗生物質)が効きにくいHib(耐性菌)が増えていることもあって治療が難しく、なんと約5%が亡くなり、約25%のこどもたちに後遺症が残ってしまいます。なのでワクチン(予防接種)がとっても大切なわけです。

米国は1987年からヒブワクチンを定期接種化して、数年後にはHibの全身感染症がワクチン導入前の1/100にまで減少し、Hib髄膜炎は「過去の病気」とまで言われるようになっています。WHOも1997年にヒブワクチンの乳幼児への接種を推奨していて、現在では世界の100カ国以上でヒブワクチンが導入されています(90数カ国で定期接種)。

と、いうわけでヒブワクチンの効果は明らかで、日本でのその導入が熱望されていたんですが、ようやく昨年の12月から国内でも接種できるようになりました。

しかし、定期接種ではなく「任意接種」のため、予防接種するかどうかは各保護者の判断に任されてワクチン代も全額自己負担になっています。Hib髄膜炎のリスクが最も高いのが0歳~1歳以下なので、ヒブワクチンは生後2ヶ月~7ヶ月未満で接種を開始することがすすめられています。

生後2ヶ月~7ヶ月未満で接種を開始する場合は、最初に3回+1年後に1回の計4回ワクチンを接種します。
7ヶ月~12ヶ月未満で開始する場合は、最初に2回+1年後に1回の計3回。
1歳~5歳未満では1回のみとなっています。


ヒブワクチンは、医師が必要と認めた場合は他のワクチンと同時接種することができます。

2ヶ月~7ヶ月未満で開始しようとすると、他の定期接種とのスケジュールの兼ね合いもあるので、三種混合ワクチンとの同時接種がおすすめです。ホロカナイでも同時接種をおこなっています。

任意接種なので接種料は、各病院で設定できるんですが、おおむね1回8000円前後だと思います。と、いうことは4回接種する場合は合計で32000円前後もかかるわけです。こどもさんが多いとさらに家庭の負担が増えてしまいます。せっかくヒブワクチンが日本でもできるようになったので、これではなかなか広まりません。

なので、幌加内町では今年の4月からヒブワクチンの全額助成を開始しました!

町内のお母さんたちの関心も高く、希望者が増えています。

しかし、ここで問題が一つあります。それはヒブワクチンの供給が需要に追いついていないことです。ヒブワクチンは「任意」接種のため、メーカーにしてみれば需要を予測することが難しく、つまりメーカーの予想を超えて国民の関心が高く、需要が供給を上まってしまっています。

メーカーによると、だいだい100床以上くらいの大きな病院だと10名/月は供給可能で、開業医や有床診療所などでは3名/月になっています。ホロカナイ町立病院は規模が小さいため原則、月に3名しかヒブワクチンが接種できません。ホロカナイでの予約は月に3名を軽くオーバーしてしまっているので、リスクの高い、より若い赤ちゃんを優先させてもらっています。これはお母さんたちも理解していただいています。

1年後には300万本/年、2年後には400万本/年のヒブワクチンが供給できるそうです。2008年の日本の出生数が109万人なので、2ヶ月~7ヶ月未満で全ての赤ちゃんがワクチンを開始すると109万×4=436万本/年のワクチンが必要になるので、2年後にはだいたいカバーできる計算なんだと思います。

ホロカナイでは全額助成をすることができますが、ヒブワクチンの助成を行っている自治体は全国で19市区町村しかなく(6/30確認現在)、助成がない自治体に住んでいる方との予防医療の「格差」が生じている状態です。ヒブワクチンの効果は明らかであり、定期接種化が望まれます。

なお、今月から鹿児島県の伊佐市でも全額助成が始まっているようです(他の自治体は一部助成)。

ついでにお知らせすると、ホロカナイでは4月から水痘(みずぼうそう)とおたふくかぜワクチンも全額助成を開始しています!この3種のワクチンを全額助成しているのは、全国でもホロカナイだけだと思います。


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2009年7月1日水曜日

放送延期のお知らせ その2

6月25日にお知らせした
「子どもを守れない・・・ヒブワクチンた足りない!」(仮)というテーマでうけたHBCの取材の放映時間がまたまた変更になりました。
 
いまのところ

7月7日(火)18時5分~18時45分(北海道ニュースゾーン)

HBC 「総力報道! THE NEW 北海道」の中の特集枠

で放送される予定です。
解散だなんだで政局も揺れているので、放映日時も安定しないんだと思います(ところで今度の選挙は絶対にいきましょー)。

北海道にお住みの方は是非ごらんください!

当院でのヒブワクチン(全額助成)についてはこちらをどうぞ~
http://www.town.horokanai.hokkaido.jp/hosp/gaiyoutop/shinryoutop/s

2009年6月25日木曜日

放送延期のお知らせ

6月18に日にお知らせした「子どもを守れない・・・ヒブワクチンた足りない!」(仮)というテーマでうけたHBCの取材の放映時間が変更になりました。
 
いまのところ

7月2日(木)18時5分~
HBC「総力報道 ザ・ニュース北海道」の中の特集枠

で放送される予定です。

北海道にお住みの方は是非ごらんください!

当院でのヒブワクチン(全額助成)についてはこちらをどうぞ~
http://www.town.horokanai.hokkaido.jp/hosp/gaiyoutop/shinryoutop/shinryou09.html

2009年6月21日日曜日

北海道国保地域医療学会で発表

20日土曜日は札幌で開催された第14回北海道国保地域医療学会に参加した。

町立病院の事務長と副師長も一緒。

午前中は宮城県涌谷(わくや)町町民医療福祉センター・センター長の青沼孝徳先生の講演。「地域包括医療・ケアを継続して展開するために」というテーマ。いかにセンターが町民に貢献しているかをデータとしてきちんと示されていて、説得力があった。いま国がすすめている公立病院改革ガイドラインは、経済面だけを全面に出し本来の自治体病院の役割・必要性をないがしろにしていることや、行政と病院のコミュニケーション・連携が大切であること、医師の確保が最も大切で困難であることなど、とても共感できた。

午後からは10人が研究発表。僕は9番目だった。

中頓別町国保病院の住友先生の「森林環境の血圧への影響」など面白かった。住友先生は平成17年から森林ウォーキングによる住民の健康づくり(森林療法)をされていて、実際に森林ウォーキングをすると血圧が下がり、これは副交感神経が賦活化されることとストレス軽減作用によるものだろうとのこと。森林療法ドックもされていて、興味深い。実に面白い。

詳しくはこちらを

http://www.town.nakatombetsu.hokkaido.jp/nakatombetsu.nsf/image/01bdbbe608bf20cf492572610022c2f6/$FILE/森林療法ドッグ.pdf

で、僕は「幌加内町の予防医療について〜予防接種を中心に〜」とうテーマで発表した。まあ、発表というより単なる報告でアカデミックではないんだけど、みなさんに知っていただくて演題を出しました。

こんな感じです。

幌加内町は人口1800人弱の農業(蕎麦)を主産業とする町で、高齢化率36.8%と高齢化も進んでいる。町では、住民のみなさんが最後まで安心して暮らせる町づくりを目指し、保健・福祉・医療部門が連携を行なっている。

近年は予防医療にも力を入れており、特に以下のように各種の任意予防接種に対して助成を行うことにより接種率の増加をはかり住民の健康増進をすすめている。また小児の予防接種助成は、少子化対策・子育て支援の一環でもある。

予防接種を中心に、幌加内町における予防医療について述べたい。

助成を行なっている予防接種

肺炎球菌ワクチン 対象:70歳以上 助成額:6000円 

インフルエンザワクチン 対象:中学3年生以下 助成額:全額 

髄膜炎ワクチン(ヒブワクチン)対象:生後2ヶ月〜5歳未満 助成額:全額

ムンプス(おたふくかぜ)ワクチン 対象:16歳 助成額:全額

水痘(みずぼうそう)ワクチン  対象:16歳 助成額:全額

結構緊張してしまったのと、発表時間が7分しかなかったので、言いたかったことのいくつは飛んでしまった。

肺炎球菌ワクチンの高齢者の接種率は全国平均が5%で、ホロカナイではおよそ26%(ちなみに米国は高齢者に保険適応があり、接種率は70%)。中学生以下のインフルエンザワクチン接種率は全国が42%でホロカナイは57%。

ワクチンによって防げる病気は防ぎたいと思っている。米国では今から20年以上前にヒブワクチンは定期接種化されていて、ヒブ(インフルエンザ菌b型)による全身感染症は定期接種前の1100に減少している。こんな事実がわかっているのに、なかなか日本ではヒブワクチンの認可がおりず、その間にヒブによる髄膜炎で子どもを亡くした親御さんはどんなに悔しい思いをされたことだろう。

ヒブワクチンを全額助成している自治体はいまのところ幌加内だけで(7月から鹿児島の伊佐市も全額助成開始)、水痘、おたふくかぜワクチンの全額助成しているところもたぶんないと思う。

任意接種だとやはり家庭への負担になるので、なかなか接種率が上がらない。実際ホロカナイでも水痘やおたふくかぜワクチンの接種者は年に04人だったのが、全額助成を開始した4月からの3ヶ月で、それぞれ7人、10人とすでに以前の年間接種者数の倍以上になっている。

ホロカナイの子どもたちはラッキーだけど、ほんとは定期接種化して日本全国の子どもたちを守るべきだと思う。

こちらも見てください〜

http://www.town.horokanai.hokkaido.jp/hosp/gaiyoutop/shinryoutop/shinryou09.html

http://www.town.horokanai.hokkaido.jp/hosp/gaiyoutop/shinryoutop/synryou07.html

その後は「地域医療再構築に向けてガイドラインを考える」というテーマでシンポジウムがあった。

いろいろ議論はされたけど、目先のことに囚われて、いかに地域住民の意識を高めるかとか地域を担う医師をいかに教育し育てるかなど、長期的な視点での議論まで深まらなかったのが残念だった。青沼先生が最初に指摘されていたとおり、ガイドライン自体の性格のためもありますが。

その後、懇親会があり、中頓別の住友先生はじめ各地域の先生や道の保健医療局長さんともお話できて楽しかった。青沼先生が熱く握手をしてくださったのが嬉しかったです