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2010年1月29日金曜日

ワクチン接種全額助成


本日発行の北海道医療新聞に幌加内のことが載りました!

以下に記事をご紹介します。


ワクチン接種全額助成
2種追加を計画

小児予防医療に力

 空知管内の幌加内町国保病院は、町のワクチン接種全額助成による小児予防医療に力を入れている。
本年度スタートしたヒブ、水痘、流行性耳下腺炎の各ワクチンに加え、新年度からは、さらに二種類の接種を検討中だ。

 同町の人口千八百人のうち、十五歳以下は二百一人(うち乳幼児九十八人)と一割以上を占める。唯一の医療機関の国保病院で、町保健福祉総合センター長を兼務している幌太郎(仮)医師が「予防可能な病気は積極的に防ごう」と町に提案。小児用ワクチン三種類の全額助成が実現した。

 髄膜炎を防ぐヒブワクチンのし使用は二十年に認可され、生後二か月から五歳未満が対象。年齢によって接種回数が一〜四回と異なり、一回当たり八千五百十円を無料化。水痘(八千五百十円)、流行性耳下腺炎(六千七百三十円)も一〜六歳児に全額助成している。町は年間予算として対象分の百万円を確保しているという。

 また、インフルエンザワクチンは中学生以下が二十年度から無料化、高校生以上は自己負担千円に設定。接種率は中学生以下で五十七%と、全国平均の四十三%を上回っている。

 一方、七十歳以上が対象の肺炎球菌ワクチンは、自己負担二千円で十九年度から実施。これまでに対象者の三十%接種を終え、全国平均の五%を大きく越えた。

 小児に対し、複数のワクチン接種全額助成は全国でも珍しく、幌太郎(仮)医師は「未来ある子どもたちの健康を守ることで、子育て支援、街づくりに貢献できれば」と意義を強調。小児用の肺炎球菌と子宮頸がんの全額助成についても検討しており、町議会で承認が得られれば四月以降スタートする予定だ。

 接種実績(2009.04~2010.01)
ヒブワクチン:31人(対象者の46%) ※ヒブワクチンは月3人までの供給制限あり
水痘ワクチン:20人(対象者の25%)
流行性耳下腺炎ワクチン:21人(対象者の27%)

(引用終わり)


最後にちらっと書かかれていますが、今春に発売予定の小児用肺炎球菌ワクチン(商品名プレベナー)と昨年12月から発売されている子宮頚がんワクチン(商品名サーバリックス、ヒトパピローマウイルス16型と18型の予防ワクチン)に対しても、町議会で承認されれば4月から全額助成開始予定です!

全額助成の対象は小児用肺炎球菌ワクチンが2ヶ月〜6歳(未就学児)、子宮頚がんワクチンは中学生女子の予定です。

小児用肺炎球菌ワクチンは髄膜炎や中耳炎の予防にとても大切で、子宮頸がんワクチンは子宮頚がんの予防により本人のためであるだけでなく少子化対策にもなります(このワクチンをしても、引き続きの子宮がん検診は受ける必要があります)。

これら新しいワクチン2つに対して全額助成を行なう予定の自治体は、全国でも少ないと思います。もしかしたら今のところ幌加内だけかも知れません。

これらのワクチンは、本来は国による定期接種(自己負担なし)化されるべきですが、現時点では任意接種であり希望する人すべてが接種できる状況ではありません。

幌加内は規模が小さいので動きやすいのは確かですが、幌加内が全国の自治体の「前例」となって定期接種化への小さな一歩になれば、と願っています。

あ、引用記事の「幌太郎(仮)」は僕が書き変えました。ってわかりますね(笑)


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2009年10月31日土曜日

季節性インフルエンザワクチン集団接種

昨日で札幌社会保険総合病院の初期研修医Hせんせーのホロカナイでの研修が終了しました。

あっちゅーまの2週間でしたが、往診→車いすでそのまま入院、訪問診療、新型インフルエンザの外来診療(まだちらほらですが)、季節性インフルエンザワクチンの集団接種、蕎麦打ち体験などといろいろと研修・体験をしてもらいました。

季節性インフルエンザワクチンの集団接種は今週の水曜、金曜に町立病院で行いました。
中学生以下の幌加内町民の方は、町の助成がありインフルエンザワクチンは無料です!
それ以外の町民の方は1回1000円です。

ワクチンを接種された人数は、2日間で成人が300人強、幼児・小児が100人強でした。
Hせんせーには成人の接種を担当してもらい、とっても助かりました。
ありがとうございました!
これからも北海道の医療を担ってね!!(写真は真剣な眼差しのHせんせー)

来週からは、風邪などで集団接種に来れなかった方などへの接種を個別で行なう予定です。
昨年度は800人弱(人口1800人)の町民の皆さんが接種されましたが(http://www.town.horokanai.hokkaido.jp/hosp/gaiyoutop/shinryoutop/synryou07.html)、今年は新型インフルエンザワクチンの関係で、「季節性」のワクチン供給は全国一律で昨年の8割ほどになっています。それでもホロカナイは昨年度の実績が多かったので良かったのですが、実績が少なかった地域では供給不足の問題もあるかも知れません。

ワクチンは接種を受けた個人の免疫を高めるのはもちろんですが、接種する人が多くないと「集団としての免疫力」が高められません。例えば海外では小児に肺炎球菌ワクチンを定期接種したところ、ワクチンを受けていない高齢者の肺炎も減ったという報告があります。

ホロカナイ町民のみなさんのワクチンへの理解は高いんですが、国民全体の理解はもっと高めないとと思います。いままで季節性インフルエンザワクチンに無関心だったひとが新型になっていまさら騒ぐってどうなん?・・・言葉が過ぎましたね。


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2009年4月28日火曜日

肺炎球菌ワクチン

現在、豚インフルエンザが世間を騒がせています。

WHOは警戒水準をフェーズ3からフェーズ4にひき上げました。
まだ、今回の豚インフルエンザの毒性や感染力についてはっきりはしていないので、必要以上に過敏になることはないと思いますが最新情報には注意が必要です。
今回の豚インフルエンザに対するワクチンはまだなく、国もワクチン製造について検討を始めたようです。

感染症に対してワクチン(予防接種)で防げるものは確実に防いでおきたいものです。

肺炎に対するワクチンがあるのをご存知でしょうか?肺炎もいろいろな細菌やウイルスが原因でおこるんですが、一般の方(入院していない方)がかかる肺炎の原因菌で最も多いのが肺炎球菌という菌です。

現代の日本で「肺炎」で亡くなることなんて、そんなに多くないと思われるかも知れませんが、なんと日本人の死因の第4位が肺炎です。

どうしてもご高齢になられると、飲み込み(嚥下:えんげ)が悪くなり、食事や唾液をムセることによって肺炎を起こすこともあり、これは口のなかの清潔を保ったり、飲み込みやすいような食事の内容を工夫するなどである程度は予防できるかもしれませんが、ある程度は仕方がないことかも知れません。

ただ、そのような状況でなくても肺炎にかかることはあって、その場合は「肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)」である程度予防が可能です。

またインフルエンザにかかると、のどや気道の防御力がおちて二次性に肺炎にかかることがあります。このとき肺炎球菌による肺炎は重症化しやすいことが知られています。

高齢者で慢性的な肺の病気を持っている方を対象にした研究では、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの両方を接種することで、入院のリスクを63%、死亡のリスクを81%減らせたという報告もあります。

ただし、この肺炎球菌ワクチンの効果は5~9年ほどと言われていて、現在の日本では65歳以上の方と、2歳以上の脾臓摘出を受けた方にのみ適応があり、生涯で1回しかできません。

脾臓摘出を受けた方には保険がきくのですが、そうでない方は全額自己負担となります。
病院により多少異なりますが、だいたい8000円前後かかります。

平成19年度より幌加内町では、この肺炎球菌ワクチンに対して公費助成を開始しています。
対象は70歳以上の町民の方で、6000円の助成があり、自己負担は2000円です。
平成19年度と20年度の2年間で155人の方が肺炎球菌ワクチンを受けられていて、町内の70歳以上の方のおよそ3割がすでに接種を受けられたことになります。

全国的な接種率はわからないのですが、ホロカナイはおそらくかなり高い接種率だと思います。

この肺炎球菌ワクチンへの公費助成は、いま夕張におられる村上智彦先生が北海道の瀬棚町で開始されたのがきっかけで、現在全国の88市区町村(平成21年1月現在)で助成が行われています。

全国に助成制度が広がり、ゆくゆくは保険適応となることを願っています。

ホロカナイでは、その他にもいろいろな予防医療をおこなっていますが、それはまたの機会に。


予防接種などの実績報告はこちらをごらんください。
http://www.town.horokanai.hokkaido.jp/hosp/gaiyoutop/shinryoutop/synryou07.html

「ひとにやさしい」ホロカナイで一緒にはたらきませんか??