2009年4月28日火曜日

肺炎球菌ワクチン

現在、豚インフルエンザが世間を騒がせています。

WHOは警戒水準をフェーズ3からフェーズ4にひき上げました。
まだ、今回の豚インフルエンザの毒性や感染力についてはっきりはしていないので、必要以上に過敏になることはないと思いますが最新情報には注意が必要です。
今回の豚インフルエンザに対するワクチンはまだなく、国もワクチン製造について検討を始めたようです。

感染症に対してワクチン(予防接種)で防げるものは確実に防いでおきたいものです。

肺炎に対するワクチンがあるのをご存知でしょうか?肺炎もいろいろな細菌やウイルスが原因でおこるんですが、一般の方(入院していない方)がかかる肺炎の原因菌で最も多いのが肺炎球菌という菌です。

現代の日本で「肺炎」で亡くなることなんて、そんなに多くないと思われるかも知れませんが、なんと日本人の死因の第4位が肺炎です。

どうしてもご高齢になられると、飲み込み(嚥下:えんげ)が悪くなり、食事や唾液をムセることによって肺炎を起こすこともあり、これは口のなかの清潔を保ったり、飲み込みやすいような食事の内容を工夫するなどである程度は予防できるかもしれませんが、ある程度は仕方がないことかも知れません。

ただ、そのような状況でなくても肺炎にかかることはあって、その場合は「肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)」である程度予防が可能です。

またインフルエンザにかかると、のどや気道の防御力がおちて二次性に肺炎にかかることがあります。このとき肺炎球菌による肺炎は重症化しやすいことが知られています。

高齢者で慢性的な肺の病気を持っている方を対象にした研究では、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの両方を接種することで、入院のリスクを63%、死亡のリスクを81%減らせたという報告もあります。

ただし、この肺炎球菌ワクチンの効果は5~9年ほどと言われていて、現在の日本では65歳以上の方と、2歳以上の脾臓摘出を受けた方にのみ適応があり、生涯で1回しかできません。

脾臓摘出を受けた方には保険がきくのですが、そうでない方は全額自己負担となります。
病院により多少異なりますが、だいたい8000円前後かかります。

平成19年度より幌加内町では、この肺炎球菌ワクチンに対して公費助成を開始しています。
対象は70歳以上の町民の方で、6000円の助成があり、自己負担は2000円です。
平成19年度と20年度の2年間で155人の方が肺炎球菌ワクチンを受けられていて、町内の70歳以上の方のおよそ3割がすでに接種を受けられたことになります。

全国的な接種率はわからないのですが、ホロカナイはおそらくかなり高い接種率だと思います。

この肺炎球菌ワクチンへの公費助成は、いま夕張におられる村上智彦先生が北海道の瀬棚町で開始されたのがきっかけで、現在全国の88市区町村(平成21年1月現在)で助成が行われています。

全国に助成制度が広がり、ゆくゆくは保険適応となることを願っています。

ホロカナイでは、その他にもいろいろな予防医療をおこなっていますが、それはまたの機会に。


予防接種などの実績報告はこちらをごらんください。
http://www.town.horokanai.hokkaido.jp/hosp/gaiyoutop/shinryoutop/synryou07.html

「ひとにやさしい」ホロカナイで一緒にはたらきませんか??

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