子宮頚がんは、わが国では年間約15000人が罹患し、約3500人が亡くなっています。
発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染が原因になるんですが、若い女性ほどこの発がん性HPVの感染率が高く、日本人の15〜19歳の約3割が感染していたというデータがあります。女性の8割は一生のうちで1回以上感染すると言われるそうです。
もちろん、この発がん性HPVに感染すると必ずがんを発症するわけではなく、感染してもほとんどは自然に排除されるんですが、なかなか免疫がつきにくく繰り返し感染する可能性があり、HPV感染者の1%未満にがんが発症すると考えられています。
なのでパーセントで見ると少なく感じるかも知れませんが、上記のとおり日本全体でみると年間3500人が亡くなっており決して少ない数ではないと思います。
発がん性HPVにはいくつかの種類があるんですが、このうちHPV16型とHPV18型が子宮頚がんの6割(20〜30代では8割)を占めています。
で、今回承認されたワクチンはこの16型と18型に対するワクチンです。
HPV16型と18型が原因の子宮頚がんの90〜100%予防します。
まだ世界でも使用され始めて年数があまり経っていないんですが、現時点ではすくなくとも6年は効果が持続することが確認されていて、推計では少なくとも20年間は効果が持続するとされています。
最も効果的なのはセクシャルデビュー前なので、小児科学会と産婦人科学会は11〜14歳でワクチンを接種することを最も勧めています。すでにHPVに感染歴があるひとにも再感染を予防する効果もあるので、15〜45歳が次に勧められています。
と、いうわけで「がんを予防できるワクチン」なのですが残念ながら現時点では「任意」接種のため全額自己負担となります。
接種は計3回必要で、細かい値段は病院ごとに違ってくると思いますが、概ね3回で4~5万円かかると思います。子宮頚がんの大部分を確実に予防できると考えて、少なくとも20年は効果が持続すると思うと年間2〜3千円になりますが、一度に払うとなると高いですね。
なので国による「定期接種化」が望まれますが、それまでの間は自治体による助成が必要かもしれません。すでに一部の自治体では助成制度が検討されているようです。
なお国内での発売は12月中旬を予定しているそうです。
最後に今回承認されたワクチンは、全ての発がん性HPV感染を予防できるわけではないので、接種後も定期的な子宮がん健診は受けなければなりません。
諸外国での子宮がん健診の受診率は7〜9割と高いんですが、残念ながら日本では2〜3割で特に若い世代では1割に満たないようです(ちなみにホロカナイの昨年度の子宮がん検診の受診率は45%)。ワクチンと同時に日本の低いがん検診の受診率を上げないといけません。
テレビで◯◯健康法とか◯◯ダイエットに踊らされるより、定期的にがん健診を受ける方がよっぽどマシです。
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